「共通一次」世代の親の生き辛さ・子の生き辛さ
きょうは暑かったですねぇ。
エアコンの設定を28度から30度に上げても十分に涼しく感じました。
関東も梅雨明けだそうです。
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さて、うっかり返却期日が過ぎていて催促が来てしまった大学図書館の図書から、一部抜粋(明日返さねば…^^;)。
「自分の夢や希望をじっくり確かめながら自分の進路を探るよりも、偏差値という序列化された数値によって自己のポジションを確認することを優先し、進路先を決めてきた世代と言ってよいでしょう。学校や家庭などでそれが当然であると指導され続け、その中で自己の人格形成をしてきたわけですから、たえず他者や数値によって評価される自分しか実感できずに悩む人が多いのです。
ですから、自分らしい感情形成が弱かったり、自分に自信を持つことができない人がその世代に多く見られるのも当然ではないでしょうか。」(尾木直樹「子どもの危機をどう見るか」2000年岩波新書 p135~136)
当時30代であった母親世代が抱える「生き辛さ」について触れた部分です。いわゆる共通一次試験の世代であり、競争主義的な一元化された価値観を内在化してきた世代として、親として子どもの教育に関わったときの苦しさを尾木さんは上記のように分析しています(父親ももちろん同じような状況に置かれていると思いますが、子どもに直接影響があるという意味で主に母親を対象としていると思われます)。
これを読んだとき、「まさにこれは、現在学生達が抱えている苦しさだ」と、その共通性に驚きました。これらの特徴=生きづらさは、そのまま親世代から子どもの世代に引き継がれている、そんなふうに思えてなりません。
★自分自身の感情よりも、他者の評価による喜怒哀楽が優先してしまう。→ もっと自分自身の感性に自信を持って。自分の感情に素直になっていいんだよ。
★数値化されないと不安になる → 数値化されないものにも価値があるし、世の中には数字では表せない魅力もいっぱいあることを知って!
★競争の上位にいなくては意味がない。下位の者は必要ない。→ 競争での序列はその競争内での価値観の一つに過ぎない。ある競争のどこに位置するかだけで、人間の存在価値が決まるわけではないよね。
ときに、学生相手にこんな話をするのですが、学生達が共通1次試験をくぐり抜けた親世代と同質の悩みを抱えていると見るのは、私の思い過ごしでしょうか。教育の与える影響の大きさ・根深さに、改めて考えさせられています。
そして何とか、社会に出る前の最後の教育機関で、自分の感情を取り戻し、自分で考えて物事を判断する力をつけてほしいと心から思います。そしてせめてせめて最低限は、自分自身を価値ある存在と思えるようになってほしい。「自分なんかいなくたって…」などとは絶対に言ってはダメ。と、きつく言い聞かせる、気がつくといつの間にか、近所の世話焼きオバサンのような口調になっていて「おっとっとー」とブレーキを掛けることもある、この頃です。