つるべ落としの…、夕暮れの感慨
「秋の陽はつるべ落とし」というが、夕暮れ時の空の美しさに見とれていると、アッという間に日が陰り夕闇に包まれてしまう。
あかね雲と入れ替わるように、東の空には煌々と輝く月が・・・。
夕暮れ時の空に描かれる秋の夕べならではの絵画のような景色。
この、一日のうちのほんのわずかな時間が、私は結構好きだ。
仕事帰り、頭上で繰り広げられる天空ショーを仰ぎ見ながら歩くのは、疲れも癒やされ、心が解放され、足取りも軽くなる。
そんな折に思い出される言葉がある。
海洋学者のレイチェル・カーソンは著書『センス・オブ・ワンダー』の中で、住まいに近い岬の突端で、かつてないほどの美しい夜空を見た時に抱いた思いを、このような言葉で綴っている。
わたしはそのとき、もし、このながめが一世紀に一回か、あるいは人間の一生のうちにたった一回しか見られないものだとしたら、この小さな岬は見物人であふれてしまうだろうと考えていました。けれども、実際には、同じような光景は毎年何十回も見ることができます。そして、そこに住む人々は頭上の美しさを気にもとめません。見ようと思えばほとんど毎晩見ることができるために、おそらくは一度も見ることがないのです
日常にありふれた、でも貴重なひととき!
味わいつつ過ごしたい。