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お坊さんの講話(「ために」でなく)
ついこの間まで、暑くてフーフー言っていたのに、何という変わりようでしょう。朝晩など肌寒いくらいです。
またまた、ご無沙汰続きの日記になってしまいました。
ふと耳にした言葉が、心に残ることってありますね。
何気なくテレビをつけたら、こんな言葉が耳に飛び込んできました。
「『ために』やってはいけないんです」
???
画面には、お坊さんが映っていました。
「『食べるために働く』といいますね。食べなくてはいけないからその『ために』働くと。そうではないんです。」
???
「働くときは、その日精一杯ただ働く、ただそれでいいのです」
・・・・・
確かに、振り返ってみるとそうかもしれないと思い当たる節がある。
現実には働かないと食べられない。だから、「食べるために働く」ということになる。
では、食べているときはどうかというと、「働くために食べなければ」となっているかもしれない。
食べるために働く→ 働くために食べる→ 〇〇のために□□する→□□のために〇〇する→……………
これではいつもいつも、次の何かのために、今これをやらなくてはと思ってやっていることになる。だとしたら一体いつになったら、「~のために」ではない、それ自体を正面に据えて取り組むことをするのだろう?
そんなことを思いながら聞いていました。
セレニティの瞑想会でもよく「『今、ここ』を大事に」、ということが言われますが、これにも通じるように思います。
お坊さんの話は、道元の説法を引用しての話でした。
「報いを求めるな」「すでに自分の中にすべてあるのだから、外に求めなくても良い。それでもなお求めるのは、<水の中にいて、のどの渇きを訴えているようなもの>」なのだそうです。
「報いを求めるな」…とはいえ、現実にこれを実行に移すのは難しい~!
でも、
心がすがすがしくなるから好きです、こういう話。「ありがたがって聞いているだけではダメでしょ」、と言われそうですが…。
この後、聞き手が興味深い質問をしたのですが、それについては次回に…。
テレビには大勢の人が登場しますが、話の内容もさることながら、話し手の人相、表情や全体の雰囲気なども含めて聞くと面白いです。テレビ画面って意外に正直かもしれません。
この場合も、お坊さんがとても良い表情をして話していらしたので、つい引き込まれて聞いてしまいました。
次回は、座禅についての話だそうです。
<こころの時代~宗教・人生「道元のことば~正法眼蔵随聞記にきく(5)報いを求めず」>
駒澤大学教授…角田 泰隆
NHK教育テレビ 日曜早朝、翌週午後に再放送