セレニティカウンセリングルーム

日別: 2009年7月8日の記事一覧

国産小麦の給食パン…継続の力

今から20年ほど前、都内の某所に小若順一さんを訪ねて話を聞く機会がありました。当時の団体の名称は忘れました(現在「日本子孫基金」と改称)が、食品の放射線照射やポストハーベスト(収穫後の農薬散布)など、食品の安全性について啓発する市民団体で、小若さんはその団体の代表でした。

輸入小麦の安全性への疑問、国産小麦のおいしさ、そんな話をしながら「学校給食に国産小麦パンを導入できないだろうか」というような話題を持ち出した記憶があります。

小若さんの話では、価格その他の面で(ふわふわしたパンにならない国産小麦の特性が理解を得られるかどうかとか、それを克服する技術の面で難しいとか)、現状では非常に難しいという話でした(予想通りの答えではあったのですが、それでも聞きに行ってしまうところがしつこいというか、私のアホさ加減だなあと…)。

「安全性を考えたら国産小麦のほうがいいに決まっている。だけどどう考えても今は難しい」必要性と同時に現場の困難も知っている人の発言なので説得力がありました。「ヤッパリ無理か」とガッカリしたのを思い出します。

というように、学校給食に国産小麦パンを導入することは、当時としては考えるのも愚かといって良いほど、まったく現実離れした問題だったのです。

しかし、あれから20年。
今では学校給食に国産小麦パンを導入している学校があちこちで見られます。4~5年前、初めてそのニュースに接したときは感慨深いものがありました。
「変わるんだ!変われるんだ!」っと。

同時に、たぶんこれは給食の問題だけではないはず、とも思いました。

教育にしても、子育てにしても、問題と思っていることや疑問に思っていることは、地道に変える努力をしていけば、きっと変えることができる、そう気づかされたのです。

もちろん、何もしないでいては変わりません。

学校給食での国産小麦パン導入にしても、そこに至るまでには、多くの関係者のひとかたならぬ努力があってのことです。消費者の安全な食べ物を求める気持ちや環境問題への関心などが、政治を動かし、社会を変え、実現への力になったのだと思います。

あきらめないで、進むこと。
給食パンが教えてくれました。