セレニティカウンセリングルーム

心の悩みにバンソウコウ

私は週に二回、大学の学生相談室で相談員をお引き受けしています。

最近つくづく思うことは、学生達は大なり小なり、大学に来るまでに、人間関係やら社会の軋轢やらでずいぶん傷ついて来ているんだなあということです。

自分に自信がなかったり、対人関係にとまどっている学生達も多いです。優しくて真面目な人が多いのです。そして誰もが、当たり前のことですが、自分の人生をどう歩んでいこうかと真剣に悩んでいます。「いまどきの若者は…」とマイナスイメージで一括りにされてしまいがちですが、ちゃんと話を聴いてみると、それぞれにそうならざるを得ない理由があるのも確かです。

一見、何ごともなく、気楽に学生生活を送っているように見える学生達が、話を聴いてみると実は深刻な悩みを抱えていたりします。それらは主にコミュニケーションの問題なので、表れ方はさまざまですが、形を変えて大なり小なり、多くの学生達に共通する課題となっているのだろうなあと想像します。

よく事件があると「普通の中学生がキレた」みたいな言い方がされますが、おとなが「普通」だと思って見過ごしている一人ひとりの中に、深刻な悩みが潜んでいるのが現実でしょう。第一「普通」って何でしょうか?「普通」という言葉でくくってしまうと見えなくなる一人ひとり。そこにこそ、おとなが目を向けなくてはいけない部分ではないでしょうか。そのことを子どもや若者達が身体を張って訴えているのかもしれません。

それらの問題は10代後半から20代といった、子ども時代の総仕上げともいえる時期に噴出してきます。大学はちょうどその時期に当たりますし、。そして大学の場合なら、それは社会に出る前の最後のチャンスかもしれません。そう考えると、学生相談室の責任は重大で、その責任の重さに、一瞬たじろいでしまうほどです。

が、そうも言っていられません。たとえ学生相談でのカウンセリングが、手術に対するバンソウコウや包帯くらいの役目しかなかったとしても、包帯を巻きに行かないわけにはいきません。たとえ一時の包帯でも、それがあることで苦境から脱出できる学生達がいるのならね。

だって若い人たちの生命力はすごいのです。ひとたび気づくとグングン元気になっていきますから…。こちらも励まされます。

君の人生、好きなように生きていいんだよ。やりたいことをやってみたら。とオバサンがハッパを掛けると、彼らの目がキラキラとし始めます。本当に純粋なんです、みんな!それが「バンソウコウ」を貼る私の、原動力になっているのも確かなようです。

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