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学力テストと「自ら学ぶ力」

今年も全国一斉に学力テストが行われました。独自の教育方針によるユニークで効果的な教育が注目を浴びている愛知県犬山市は、昨年に引き続き今年も参加しませんでした。

その犬山市の教育長、瀬見井久さんが先日、東京新聞のインタビューに答えてこんなことを言っています。

「例え話をすると、病気は医者が治したと言っている場合でも、実は自然治癒した場合が多いんですね。教育も似ていて基本は自己教育だろうと思っています。医者も本当の名医は自分はヤブ医者であるという自覚を持っています。教えるという気負いには問題がある。もっと謙虚であっていいと思う。・・・・

一人一人が自主的、自立的に人格の発達を遂げていく。それを私は『自ら学ぶ力』と呼んでいます。
自ら学ぶ力を育むために何が必要か。たどり着いた結論が子ども主体の授業であり、それを可能にするのが少人数学級。学力保障に最も有効な教育環境です。」

国の教育政策については、
「改革は教師を変え、学校を変え、最適な学習環境をつくり上げる草の根的な議論を踏まえなければなりません。」と、現場の声を聞く大切さを訴え、

「戦後新しくできた教育基本法は、戦前の教育が国家目標に沿ったものであったのに対し、教育の目的を子どもの人格の完成に置きました。さらに、国家が教育に手を突っ込むとろくなことにはならないと、戦前の軍国教育の反省から教育の地方分権を徹底させました。戦後六十三年、その精神が風化しています。・・・」と語っています。

地方分権の意義を自覚して、全国一斉の学力テストに応じないのは全国で犬山市だけです。学力テストの効果や意義が十分検証されないまま、多額の費用がつぎ込まれ、現場の先生達はテストのためにいっそう忙しくなっているのが現状です。

最近、都内のある小学校で配られた学校便りを目にする機会がありました。それを見せてくれたお母さんは言います。「子どもばかりか、親も一緒に管理されているようで苦しいです」。改正された教育基本法の主旨に沿って、ということのようですが・・・。

「(子ども達には)クラスや学校、地域の一員としての自覚と規範に裏付けられた言動が求められ」とあり、「けじめと規律」「集団の規範、集団行動」など、「規範」が太字で強調されています。もちろん、集団行動に規律は必要なことですが、規則や規律ばかりが強調されるのはどうかと思います。

「保護者会の出席率〇〇パーセントをめざして…」ともあります。これは職員会議の内部資料をそのままコピーして渡しているのではと思われるような細かい内容がビッシリ書かれていて、これを親御さんに配るのはどうなのだろうと疑問に思ってしまいました。

確かに集団の規範も大切ですが、それにはまず一人一人がちゃんと自分の考えを持ち、自分で判断して行動できることが前提ではないでしょうか。

「自ら学ぶ力」を、まず育てる。そのために、学ぶ環境整備に力を注ぐこと。国も地方行政も、そして校長先生も、それを目標にしてくれれば、現場の先生にとっても子ども達にとっても、一番効率の良い「教育改革」になるはずです。

結局、「誰のための教育か」ということのような気がします。子ども自身のためでない教育はゴメンです。

今日は憲法記念日。
憲法の理念を具体化する教育基本法も変えられてしまいましたが、根本の精神は忘れたくないと思います。と言うことで、今日はちょっと固い内容になってしまいましたが、ご容赦下さい。