セレニティカウンセリングルーム

関連するコトバ 『 相談室 』

卒業の季節

春のような暖かさの日もあるかと思うと、また急に冷え込んできて、油断ならない時季ですね。インフルエンザもはやっているそうで、結構不調の方も多いみたいなので気をつけたいですね。

さて、そんなこの季節ですが、大学の相談室としては今は春休み。
4月の新学期を待つ時期でもあります。

1月の相談室が終了する間際には、卒業していく学生さんがチラホラ挨拶に来てくれることがあります。
中には、数年前に相談に来て、その後は元気になり、ずっと顔を見せることのなかった人もいます。

そんなときは突然の来訪と、雰囲気が変わっているのとで、一瞬誰だかわからないときも・・・。
特に女性の場合は、お化粧や髪型の変化もあって、「え?〇〇さん?!」と、聞き返して失礼してしまったり。
でも、一言二言言葉を交わすと、「あ、そうだ。〇〇さんだ」と、思い出されてきます。

「お元気そうね。溌剌として」と、こちらが感じたままを口にすると、

「そんなことなくて~、今でも自信ないんですよ~」などと、照れた横顔に、当時のことがよみがえってきます。
相談室で交わした会話のあれこれ、共有した時間、辛かったこともーそのどれもが貴重な体験として糧になってくれていたのだろうか。

ドアを出て行く後ろ姿にエールを送りながら、幸せのお裾分けをいただいたような、カウンセラーとして感慨深く嬉しいひとときです。

ご無沙汰しました!

随分長らくご無沙汰してしまいました。申し訳ありません。

一応元気?にしております。

なんだかんだで大学の相談室が大忙しでした。今年は私の担当日が週2日から3日になったというのもあるのですが、相談件数そのものがけっこう増えているようで、てんてこ舞いの毎日でした。

「夏休みに入るまでは、とにかく健康でがんばらねば・・・」と気を張っていたのですが、7月いっぱいで大学が夏休みに入った途端、ガタッと力が抜けてしまいました。これで猛暑だったら、どうなっていたことでしょう。このところの涼しいお天気に感謝、感謝です。

学生さんも大変だなあ、そのバックのご家庭や先生方も同じく大変だし・・・。こんな時代だから、いたわり合って、お互いにゆっくりやっていきましょうよ・・・などと声を掛けたくなってしまいます。簡単に一括(くく)りにしてはいけないとは思うのですが、ゆっくり歩いたり、時には立ち止まったりしてもいいのではないでしょうか。

お互いにめいっぱい頑張っている気がするのです。それでもどこか虚しかったり、孤独だったり、幸せになれていないとしたら、この社会は目指す方向を、少しばかり修正する必要があるのかもしれないなあと思ったりもするこの頃です。これは単に私の“お疲れモード”のせいなのでしょうか・・・。

ちょっと暗いですね、うつむき加減ですよね。

では、空に向かって・・・

緑の行進!!!

写真は3週間くらい前のものです。今はどのくらい伸びたでしょうか?

 

Aさんの思い出

だいぶ以前のことですが、某所で、ある若い女性のカウンセリングを担当したことがありました。仮にAさんとします。Aさんは精神科に通院しながら、専門学校に通っている日々でした。相談日によって担当カウンセラーが入れ替わるシステムだったので、私は部分的な関わりでしかなく、数回カウンセリングでお話を聴かせていただいただけでした。

しかし、Aさんについては忘れられない思い出があります。

ある時、面談の終わり近くに、私はこんな質問をしました。「今、興味を持っていることや、好きなことは何かありますか?」
Aさんからは<歌が好き、自作の歌がいっぱいある>との返事が返ってきました。そこで、「次回、もしよかったら、歌を聞かせてもらえないかとお願いしたところ、快くOKの返事がもらえました。

そして、次のカウンセリングの日。面談が一通り終わった後、私が前回の歌の話を持ち出すと、Aさんはバッグからノートをとりだすと、少し恥ずかしそうにうつむき加減で、ゆっくりと歌い出しました。

私は目を閉じて、聴きました。Aさんの声は、細くて優しく、少し震えていて、絹糸のようなきれいな声でした。歌の内容は若い女性の淡い恋心を歌ったものでした。それは前回のカウンセリングで語ってくれた、密かに思いを寄せている男性のことを歌っていたのかなと想像しつつ聴かせてもらいました。

それは、ほんの数分間のことでした。けれども、その数分間は、数回のカウンセリングの中で、一番彼女のそばに近づくことのできた瞬間のように思えました。歌い終わったAさんの表情には、わずかながら柔らかな落ち着きと明るさがともったようにも見えました。

そのわずかにともった明るさを、さらに力強く広げていくお手伝いができたらよいのだが、と思いつつも、断片的な関わりしかとれない私のポジションと力の限界を感じて、とても残念に思いつつ、Aさんの背中を見送りました。

その後、Aさんはカウンセリングにみえることはありませんでした。体調を崩されたとか、入院されたという話を耳にしたことはありました。それから程なく、私も職場を移り、Aさんについての情報も入ってこなくなりました。

Aさんのカウンセリングから、4年ほど経ったある日。職場を替わった私は久しぶりに会った元の同僚に、「Aさん、その後どうされたかしら?」と、気になって尋ねてみました。元同僚の返事は予期せぬものでした。「自殺・・・されたとか・・・」

思いがけない返答に、言葉もありませんでした。遠い記憶の中から、Aさんの歌声が聞こえてきました。私は悲しく、残念な気持ちでいっぱいでした。
辛かったのでしょうね。
希望が見えなくなってしまったのでしょうね。
でも、それでも、生きていてほしかった。
そう願うのは、第三者の勝手な願望なのでしょうか?

<私はAさんに対して、ほとんど何もできなかった。できたのはたった一つだけ。歌を聞かせてもらったことだけ。ほんの短い時間だったけれど、あの時間だけはAさんと少しは気持ちを共有させてもらえたように思う>
同僚の話を聞きながら、半分信じられない気持ちで、ボーッとそんなことを思っていました。

Aさんから聴かせてもらった歌はたった一曲だけでした。それも数分間だけ。たったそれだけのことでしたが、それでも・・・。それでも、もしかしたら、病気のために交友関係の狭まってしまったAさんにとって、歌を披露する唯一の機会だったかもしれません。そう思うと、聴かせてもらって本当によかったと思うのです。観客は私一人でしたけれど・・・。

そして、ここで、これを読んでくださる方が、このささやかなできごとを知ってくださり、Aさんに思いを巡らせてくだされば、それもまた、Aさんの思いへの共感につながっていくのかもしれないと思います。

20数年という人生を懸命に生き、苦しい中でも自作の歌に夢や希望を託し、生きる糧としていたであろうAさん。そのAさんのことを、一人でも多くの方が、ほんの一瞬でも心に留めてくだされば、それはAさんの魂の安らぎへと連なるものなのではないか、そんなふうにも考えるのです。

人が生きるということは、そのように、誰かの記憶の中に生きるということなのかもしれません。

心から、Aさんのご冥福をお祈りします。

同時に、年間3万人とも言われる自殺者、そのお一人おひとりにかけがえのない人生があることを、改めて思わずにはいられません。いつの間にか、3万という大きな数字に慣れっこになり、人の命の重さが数字の多寡に置き換わってしまいがちな自分が恐いです。

これを書きつつ、改めて自戒を、と思います。

(プライバシー保護のため、状況や設定等は、趣旨を曲げない範囲で手を加えています。個別の事例を取り上げさせていただきましたが、Aさんの鎮魂の1ページとして、趣旨をご理解の上、特例としてご容赦いただければ幸いです)

新緑の中で…近況報告

すっかり若葉の季節になりましたね。といっても、つい先日、「北海道は満開の桜の下でお花見です」とのニュースが流れていましたっけ。…と思いきや、沖縄はそろそろ梅雨入り?

日本って本当に南北に長いんですね~。特にこの時季、実感します。

大学へ行くときは、田園地帯を電車が走ります。田んぼ、田んぼ、が続きます。田植え前の、水の張られた田んぼは、黄緑色の鏡みたいできれいですよー。

大学は丘陵地帯にあるので、雨上がりの朝など、キャンパスはむせかえるような新緑に包まれて、朝から良い気分です。

でも、相談室はエアコン調整の建物の中なので、窓を開けたままにしておけないのがとても残念。ではあるのですが、たまに窓を開けては、思い切り深呼吸して「プチ森林浴」しています。

この間など窓を開けたら、聞きなれない小鳥の声。とてもきれいな声でさえずっていました。高い梢がザワザワと音を立て、雨上がりの土や草木の匂いがプーンと立ち上ってきます。

屋外でカウンセリングしたら、フェトンチット(でしたっけ?森林浴の効果)のおかげで、早く元気になれそうですよ。

熊の冬眠のように、今のうちにおいしい空気をいっぱい吸い込んで、ためておけたらいいのになあと、途方もない空想に浸りたい気分のこの頃です。

なんとも優雅(?)ですね~

と、

言いたいのですが、、、

、、、、、

現実は、原稿書きにあくせくしています ^^;;;
土日、頑張ろう!

受験と卒業の季節

受験生は、今まさに受験の真っ最中といったところでしょうか。
そして、一方では、卒業生を送り出す時期も間近に迫っています。学校はこの時季、ちょっと緊張感のある、清新、かつ慌ただしい空気に包まれています。

大学相談室に来ていた学生さん達も、何とか無事に卒業にこぎ着けました。やっぱり元気に巣立っていってくれるのは何より嬉しいものですね。

途中で相談室に来なくなった4年生の彼はどうしたかな―、
と気になりつつも、
たぶん元気になったから来る必要がなくなったのでしょうね―、それなら安心。
と、最後に会った時の印象を思い出しながら、想像を巡らせています。

ちょうどあの日は、他の学生の面談中だったので、「予約時間だけ入れていってはどう?」と声を掛けたけれど、「また来ます」と言って、それっきりになってしまったなあ。

たぶんあの調子なら単位も取れているはずだし、大丈夫なはず。来年また相談室に現れませんように(どうか卒業できていますように)…。
と、心密かに祈っています。

また、ある女子学生さんは、私の担当日の最終日に(会える日はその日が最後ということで)、授業はないのにわざわざ大学に挨拶に来てくれました。

晴れやかな笑顔は、今までよりさらに明るくなって、卒業と就職という二大イベントへの期待がふくらんでいることを感じさせました。

その日は雑談とよろず相談で終わりました。
「変なこと聞いちゃいますけど……」
「ぜんぜん違う話なんですけど…」なんて言いながら、いろいろ質問されて、私も熱く語ってしまいました。こんなオシャベリは私も楽しいです。

・・・受験と卒業のシーズンが、こうして過ぎていきます。
相談室から「みんなに春よ、来い!」 と願いつつ。